最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1282 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
弁護人田村福司の上告趣意第一点について。
原審の弁護人は控訴趣意書において、「被告人に深い悪意があつてやつた行為で
はないと観察せられる」などと、被告人の犯行についての事情を述べ、「情状酌量
の恩典に浴し減軽又は執行猶予の裁判を仰ぎ」たいと言つているのであつて、所論
のように、被告人に犯意がなかつたと主張しているのではない。従つて原判決が、
右の控訴趣意に対して「所論の事情を認めることができる」と判示したからとて、
それは、所論のように、被告人に犯意のなかつたことを認めたことにもならないし、
被告人を有罪としたことと齟齬矛盾もしないし、またその結果「罪となるべき事実
を明示せずして有罪判決の言渡をした」ことにもならない。論旨は控訴趣意及び原
判決を誤解し、誤解を前提として原判決の憲法違反を主張するものであるから、採
用することができない。
同第二点について。
論旨は刑訴四〇五条に定める事由に該当しないから、適法な上告理由とならない。
なお、記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて、刑訴四〇八条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見を以て主文のと
おり判決する。
昭和二六年七月一七日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
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裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
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